技術者座談会
Symposium engineer
統括部長×顧問 対談
Conversation
2人のレジェンドが語る「塚田理研」
2000年から塚田理研の顧問として当社を支えてきた塚田憲一氏と、期待の技術者として1995年4月に新卒入社した製造部・統括部長の橋爪眞志氏。塚田理研になくてはならない2人のレジェンドが、めっきとの出会いや塚田理研の変遷、強みや魅力などについて語り合いました。
対談者プロフィール
新素材開発事業促進室 室長
塚田 憲一
第一製造部 統括部長
橋爪 眞志
お2人のめっきとの出会いについて
塚田顧問と橋爪部長がどのようにしてめっき加工と出会ったのかをおうかがいしました。
TALK01
―「めっき」との出会いについて教えてください。
塚田顧問
少し長くなりますが、私は高校卒業後、横浜でプラントの会社に勤めていました。化学工学の技術を使って分析をしていたのですが、工場の移転に伴い転職することになりまして。その頃はイタイイタイ病や水俣病などの公害が社会問題になっていたので、公害防止管理者を目指し、国家資格を取得したんです。その後、資格を生かして自動車の部品メーカーに入社し、排水管理をしていました。データ分析や管理は面白かったんですけど、確立したら面白くないんですよね(笑)。分析の合理化・効率化を進めて、1週間で行う作業を1日~2日で終わらせるようにしたんです。そうすると業務にも余裕が出てきて、その頃はプラスチックめっき(プラめっき)の勃興期で、「ちょっとプラめっきも手伝って」という声が掛かったんです。それがめっきとの出会いでした。
TALK02
―どのようなめっきのお仕事をされていましたか?
塚田顧問
最初は自動車のエンブレムのめっき加工ですね。そこからグリルなど、加工対象物が増えると、めっき液の管理が非常に難しくなりました。私は化学工学を専攻してきたので、めっき液の管理は、物質収支の管理なのでは…と思い、統計と分析を行いながら管理していました。
TALK03
―具体的には?
塚田顧問
フッ酸とクロム酸と硫酸を分析して管理していました。変動が分かるのはクロム酸濃度の比重なんです。硫酸やフッ酸は分からないんですけど、化学工学的な物質収支で考えると、めっき液の損失は、めっきへの付着ではなく、汲み出しによる損失が原因なんですよね。クロム酸の比重に対して、硫酸がいくつで、フッ酸がいくつ、フッ素成分の微粒成分がどのぐらいに消費されるかというのは、調査と統計で比率を割り出せるんです。その比率を基に、クロム酸が足りないときに自動的に硫酸とフッ酸を自動的に補充するようにしたら、めっき液が非常に安定するようになったんです。今は自動機がありますけど、当時は毎日めっき液を管理していましたね。
TALK04
―その後もめっきに関するお仕事を?
塚田顧問
そうですね。めっき液が安定するとやることがないので、次は「開発をやってほしい」と言われて。クライセラーのラムヘッドや、ナイロン素材へのめっき加工の開発も手掛けていました。めっき・塗装・整形を全て担当して、外部の会社での立ち上げも行いました。
TALK05
―橋爪部長は塚田理研に入社されてから、めっきに出会ったのですか?
橋爪部長
そうですね。理系出身ですが、めっき加工をやりたいという想いはなかったんですよね。塚田理研に入るときに「めっきの仕事がしたい」という理由で入社する人は、正直なところ今もほとんどいないと思います。だけど、私は化学が好きだったので、塚田理研でめっきと出会って、ものすごく面白いなと今も感じています。化学を知っている人が一番奥深いところまで、めっきの魅力を理解できると思いますよ。
TALK06
―橋爪部長は、なぜ塚田理研に入社されたのですか?
橋爪部長
大学生のときに塚田理研を見学して、就職するなら中小企業の方が良いと思ったんです。何よりも、歓迎してくれる会社に入りたいという想いがありましたね。大企業に行ったら大勢のうちの1人になってしまう。100人の新入社員がいたら100分の1ですから。それよりは、1分の1というか、唯一無二の存在でありたいと思って。私の前に入社した方は高校卒業後に入社された方で、しかも15年前に入社された方という状況だったので「なぜ塚田理研に新卒の新入社員が?」と思われていたかもしれません。
塚田顧問
当時、若い人は橋爪さん以外に誰もいなかったよね。彼が入ったときに、すごい人が入ったなと思ってね。プリント基板や半導体の設備を持つ会社など、いろいろなところに一緒に見学に連れて行きました。駒ヶ根でプラめっきのことだけをしていたら、その世界だけになってしまうので、もっと視野を広げてほしいという想いもありました。
橋爪部長
その経験は、当社が手掛けるさまざまなめっき加工に生かされていますね。
TALK07
―橋爪部長は会社の立地も入社の理由だったそうですね。
橋爪部長
そうです。出身は名古屋ですが、大学進学を機に長野県で生活を始めて、この土地が気に入っていて。自然や渓流釣りを楽しめますし、この地で生活していきたいという気持ちが大きかったです。「伊那谷のエリアであれば駒ヶ根がいい」と、大学生時代から思っていました。
塚田顧問
ここはロケーションもいいし。山の形もいいよね。私も田舎が好きだったので、今は駒ヶ根の山に住んでいるんです。以前、アメリカの方と話していて「日本人はライフクオリティーをどう考えているんだ? 仕事ばかりしていないで、人生を楽しまなきゃ」って言われて。そうだなぁと思って。駒ヶ根にいると気分が楽しくなるんですよ。山が見えて、楽しいんだよね。気分も晴れる。「こういう環境で何かやりたいな」と思ったことが、原動力になっています。
橋爪部長
私たちの共通点といえば、お互いに薪ストーブを使っていることですね(笑)。私は薪を購入していますけど、塚田さんは土地の木を切って、薪にしているんですよね。
塚田顧問
薪にお金はかかっていないけど、木を切るのは大変だよね(笑)。
長野県駒ケ根市に拠点を置く
塚田理研について
めっき加工を営むにあたって、なぜ塚田理研は自然豊かな土地に拠点を置くのか。について質問しました。
TALK08
―お2人とも駒ヶ根の自然を愛し、暮らしを楽しんでいらっしゃるとのことですが、
塚田理研にとっても駒ヶ根の自然は欠かせないものですか?
橋爪部長
そうですね。水も空気もきれいなことは、めっきの品質に関わる重要なポイントです。
塚田顧問
汚い水の場合、界面活性剤や汚れがついてしまう。空気も悪いと、さらに強く汚れてしまいます。めっきは剝がれないけれど、その上の塗装に影響が出てしまいます。塚田理研で塗装のトラブルが起きたという話は聞いたことがありませんね。
橋爪部長
めっきの上に塗装するのって難しいんですよ。ABS樹脂なので、普通の金属の塗装のように焼き付けることができないんです。60℃程度が限界で、めっきの品質が塗装にも大きく影響します。
TALK09
―高い技術を持つ塚田理研ですが、その技術を支えるのは、皆さんの技術力ですよね。どのような方が活躍されているのでしょうか。
塚田顧問
技術者で言うと、コミュニケーションは苦手だけど高い技術を持っている、そんな人が目覚ましい活躍をしていますよね。めっき可能なPPSコンパウンドを6年かけて開発するという、世界初の快挙も成し遂げています。
橋爪部長
「めっきができたらいいのに…」とずっと言われていた耐薬品性が強い樹脂へのめっきを世界で初めて実現したので、本当にすごいことなんですよね。社員それぞれの特性や特徴があるので、生かしてあげたいと常に思っています。
塚田顧問
新しいことができる人は変人なんです(笑)。変わっていないと開発はできない。まっすぐ一点に集中する能力が技術者には大切ですね。そして、逆に幅広い視野を持つ人、どちらも会社に必要なんですよね。
TALK10
―化学の知識・技術を持つ方や理系の方だけでなく、文系出身の方も活躍できるのでしょうか?
橋爪部長
もちろんです! 文系出身の方が活躍できる場はたくさんあります。化学を専攻していなくても問題ありません。大切なのは前向きなことです。どんな状況でも。
塚田顧問
その通りだね。
橋爪部長
会社って、いくら楽しいといっても、やっぱりネガティブな状況に追い込まれるわけですよ。どうしても。そういうときに前向きになれることが大切なので、そういう方に入社していただきたいですね。
これからの塚田理研について
塚田理研の歴史を見てこられたお2人に、今後どのような未来をつくっていくのか、未来展望をうかがいました。
TALK11
―塚田理研の歴史を知るお2人ですが、塚田理研の変遷についてどのように感じていらっしゃいますか?
塚田顧問
客観的に見て、下島社長や橋爪さんが塚田理研に来てから、会社の体質から大きく変わりましたね。私は2000年に塚田理研の顧問に就任したので、四半世紀ほど経ちますが、顧問になる前は、塚田理研はお客様でした。付き合いとしては30年以上になるんです。今日も工場を見てきましたが、改めて「会社が大きくなったなぁ…」と思いましたね。
橋爪部長
塚田理研の良いところは、設備や工場への投資を惜しまないところですよね。もともと小さな土地だったのですが、拡張してどんどん大きくなって。その過程を見ていてすごいな…と感じています。
塚田顧問
あとは働く人たち。橋爪さん以降、若い人たちが入社したことで、技術的にどんどん上がって会社が急速に良くなっていった。私はそう認識しているんですよ。
橋爪部長
後輩が入ってくれたのが大きいですね。北原さんを筆頭に理系出身の大卒の技術者が入って、その後はさらにどーっと若手が入社して。若い人は伸びるんですよね。どんどん知識を吸収して、大きく伸びていくので、それに伴って会社が成長して、いろんなことができるようになったと思います。
塚田顧問
過去の塚田理研は、めっき加工するだけの会社だったんです。でも今は、図面の段階から受注して、金型成形も行い、めっき加工、その後のアセンブリ、塗装まで手掛けています。めっき加工会社から、部品を生み出すメーカーのような会社へと変化していますよね。だからこそ、広い視野を持つ人も必要だし、塗装のスペシャリストのような、各技術に優れた人も必要です。
TALK12
―下請け会社ではなく、メーカーのような会社へと変化してきたのですね。塚田顧問は今後の展望についてどう思われますか。
塚田顧問
今後すべきことは、営業変革かなと思っています。あとは、個人的には、橋爪さんに技術を見てほしいという想いがありますね。今は製造部長だけど、橋爪さんが技術を見ていたときに、技術力が上っていったと実感しているので。
今の塚田理研は、ナイロンやガラス繊維強化PPにめっき加工を施すなど、他社ではほとんど行っていない加工を手掛けていることも強みです。産業用ロボットや電気自動車のコネクターなど、今後の需要が見込まれる部品が大手から依頼されていることもあり、今後の展開が楽しみです。
入社を検討されている方へ
メッセージ
塚田顧問と橋爪部長が求める人材について、また、どういった方が塚田理研の未来を担っていけるのかうかがいました。
TALK13
―最後に、塚田理研への入社を検討されている方にメッセージをお願いします。
塚田顧問
塚田理研で何をやりたいのか、目標を持っている人は活躍できると思います。「営業職をしたい」「こういう機械を動かしてみたい」とか、そういう明確なビジョンを持っている人がいいですね。そして、こんなに素晴らしい自然環境にある会社なんて滅多にないので、「環境を楽しみながら働く」という道を選ぶのも、一つの選択肢だと思います。
橋爪部長
私は楽しく働くことが大事だと思うんですよ。本当に。単純作業でも、その仕事を楽しいと思ってやっている人は伸びるのが早いです。楽しく、ストレスなく仕事をすることが大事です。会社に入ると、何かやりたいと思っていても挫折することがあるんですよ。「思っていたようにいかなかったな」って。なので、与えられた仕事を楽しくやる。楽しく働けるキャパシティーを持ってもらえたら、何でもできるようになるんだろうなと思います。
塚田顧問
私だって、嫌だったらやってないですよ(笑)。
橋爪部長
成し遂げた人たちは、絶対に楽しくやっていますから!
塚田顧問
面白くなかったら不満になっちゃうからね。何かをやり遂げたり、作り上げたりするのって楽しいじゃないですか。
橋爪部長
そうなんです! でも、なかには楽しくないと思う人もいるじゃないですか。だからやっぱり、前向きに楽しくやる。ある意味、努力も必要ですが、仕事を楽しむことが大事だと思います。
インタビュアーからのまとめ
Summary
塚田理研のトップお2人にお話をうかがいました。お2人に共通していたのが「めっきが好き」「仕事を楽しむ」でした。めっきについて語っていた様子は終始楽しそうで、楽しんで仕事をしているからこそ、革新的な技術の発展ができるのだと実感できる対談でした。
塚田理研は研究に思いをぶつけて実現できる環境が整っており、またその挑戦を正しく評価し新たな視点へ導いてくれる上司がいます。今はまだない、新しい技術を私たちと一緒に実現しませんか。ご応募をお待ちしています。
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